突然の出会いと別れ。
お別れしました。
「んじゃ元気でな!」
その出会いは突然でした。
出掛けようとしていた僕が玄関を出ると、
玄関先で倒れてひっくり返っているアイツが居ました。
「大丈夫か?」
声を掛けましたが、
反応が薄くて、手足にも力が無いです。
とにかく、仰向けになっている体を起こして、キュウリを刻み砂糖水も作って近くに置いてみました。
昆虫に対して、この程度しか知識のない僕は、申し訳ないと思いながら、様子を見守っていました。
ジョニーはどうやら元気になった様子で、はさみで僕の指にじゃれあってくれます。
もうジョニーを好きになった僕は、好きであるがゆえに思いました。
やっぱり、ジョニーは自然で過ごすのが幸せだよ。
僕はジョニーに別れを告げました。
「んじゃな!元気でな!頼むぜジョニー!」
僕がジョニーと名付けたアイツとの、
キュウリの匂いが指に残る6月23日の思い出となりました。
『倒れた後のキュウリは美味しいね』と、
ジョニーが言った気がしたから、
六月二十三日はキュウリ記念日。
(引用:サラダ記念日)
————————————————————
『この味がいいね』と、
君が言ったから、
七月六日はサラダ記念日
(作:俵万智)