ドストエフスキーの小説「罪と罰」を読んだ気になれる。

・七月はじめの酷暑のころのある日の夕暮れちかく。

 

 

・主人公ラスコーリニコフは、金貸し老婆のアリョーナイワーノヴナの所へあれの下見に行く。

 

 

 

・下見の帰りに、居酒屋でマルメラードフと出会う。

(この出会いはめっちゃ大事)

 

 

・マルメラードフは自分の個人情報をめっちゃ話してくる。

(この話もめっちゃ大事。レベジャートニコフはのちにヒーローになるけど、ここでは悪役)

 

 

 

・そこで主人公はマルメラードフの娘ソーニャの存在を知る。

 

・酔っ払ったマルメラードフを自宅に送り届ける。

 

 

・ラスコーリニコフは朝起きると、女中のナスターシヤから「お母さんから手紙が届いているよ」と手紙を渡される。

 

 

(手紙には妹の近況が書かれていた。悪い事と良いことがあり、悪い事はスヴィドリガイロフの妻からある疑いをかけられた事。そしてその疑いはもうすっかり晴れて、今は実業家でお金持ちのルージンから結婚の申込をされたことが書かれていた)

 

(✳︎手紙の詳しい内容は小説を読んで下さい)

 

 

・ラスコーリニコフは母親からの手紙の内容に激怒する。

 

 

 

・外を歩きながら手紙のことを考えて自問自答を繰り返し苦しむラスコーリニコフ。

 

・マルメラードフの「わかりますかな学生さん、もうどこへも行き場がないという事が」という昨日の言葉を思い出す。

 

 

 

・ラスコーリニコフが歩いていると酔った若い女が道ばたに倒れ込むように居て、それを見ている中年のおやじが居た。

 

 

 

・若い女性を心配したラスコーリニコフは巡査に20コペイカ渡して自宅に送り届けるように保護を頼む。ラスコーリニコフは最初中年のおやじに対して「おいきみ、スヴィドリガイロフ!そんなところにつっ立って何の用があるのだ?」と声を掛けた。

 

 

・保護を頼んだものの、巡査に保護を頼んだ自分の行動に疑問を持ちながら、歩いていて友人のラズミーヒンの家に行こうかと思うが、やはりあれが終わったあとに行こうと決める。

 

 

・途中、疲れて灌木の茂みの草の上で眠ってしまう。そして夢を見る。7歳くらいの子どもの頃に父親とお祭りの日の夕暮れちかくに郊外を散歩していた。痩せ馬が殺される夢だった。ミコールカ

 

 

・やはり老婆の殺害をすることに自分は耐えられないと感じる。

 

 

・K横町の曲がり角の片隅で露天商の夫婦と話しをしているリザヴェータを見かける。リザヴェータは商人夫婦と明日の19時に会う約束をしていた。と、言うことは、明日の19時に老婆アリョーナは一人であることをラスコーリニコフは知る。(リザヴェータは老婆アリョーナイワーノヴナの腹違いの妹)

 

 

・主人公は老婆アリョーナ・イワーノヴナの事を初めて教えて貰った時の事を思い出す。以下は過去の思い出

①ポコレフという知り合いの学生が話しのついでに教えてくれた。そのあとお金に困ったときに一度老婆のところへ質草を持ってお金を借りたことがあった。

②老婆からお金を借りて、その帰り道に入ったレストランのすぐ隣のテーブルで金貸し老婆アリョーナについて話をしている2人の会話を耳にする。

③高利で金を貸して意地の悪いこと。リザヴェータへの扱いがひどいこと、既に遺言書も書いており、お金はすべて死後の自分だけに使うことなど。

④男の一人が例え話で次のように提案していた。「誰の役にもたたない害である金貸し老婆を殺して、そのお金を、貧しく支えのない将来有る若者に使うと何百、何千人の人々が救われる事になる。

⑤ラスコーリニコフはたった今老婆の所へ行ってきたばかりで、老婆の噂話しを聞くとは・・この符号が主人公には不思議に思われた。

 

 

・主人公は自室に帰り、あれの準備に取りかかる。

 

・老婆の家へ向かう。

 

 

・無事に建物へたどり着いた。老婆の部屋は4階にある。

 

 

 

・2階には一つ空室があってドアが開けてあって中では二人のペンキ屋が働いていた。それ以外は人気は無い。

 

 

 

・老婆の部屋に到着して、質草を持って来たラスコーリニコフだと伝える。

 

 

・質草に細工をしていたので老婆は質草を開けるのに戸惑っている。

 

 

 

・その隙に老婆の頭上に斧を振り落とす。

 

 

 

 

・老婆は床へくずれた。アリョーナは死んでいた。

 

 

 

・ラスコーリニコフが金品を物色していると別の部屋で物音がした。

 

 

・なんとリザヴェータが帰宅していた。

 

 

 

・そのためラスコーリニコフはリザヴェータにも斧を振り落として殺してしまう。これが第二の犯行。

 

・リザヴェータが入ってこれたということは鍵も掛金もかけていなかった事に、自分は混乱していると感じる。

 

・今すぐ逃げよう。現場から立ち去ろう。

 

 

・部屋から階段を一歩降りよとしたところで、誰かの足音が聞こえてきた。

 

 

・誰かがここへ来る!やばい。

 

・その足音は階を上がってくる。

 

 

・ここに来るぞ。この四階の老婆のところへ来るに違いないと思った。

 

 

 

・主人公は再び部屋の中に戻り、ドアを閉めると掛金をしずかに穴に差し込んだ。

 

・足音の客はもうドアの向こうに来ていた。二人はドアをはさんで向かい合った。(名前はコッホで太った男)

 

・さらにもう一人誰かが階段をのぼってきた(学生で、名前はペスチャコフ)。

 

・ドアの向こうに男二人、コッホとペスチャコフがいる。

 

 

・ドアの向こうで二人が会話している。

 

・「誰もいないのですか?」「僕は用があってきたのです」「わたしも用があってきたのですよ」

 

・「待って下さい」と不意に一人が言った。

 

・「ごらんなさい、わかりませんか、ひっぱるとドアが動きますよ。」

 

・「ドアは鍵が掛かっているんじゃなく、内から掛金が差し込んであるんですよ。そら、掛金がガチャガチャ鳴っているでしょう?」

 

・てことは、家の中に誰かいるということです。

 

・二人は中にだれかいるが、出て来られない何らかの事情があると察する。

 

・中で倒れているのか。もしくは中で死んでいるのか・・・

 

・「とにかく庭番を呼んできます。あなたはそこで待っていて下さい」と言って、ペスチャコフは階段を降りていく。

 

 

 

・残った男(コッホ)は、再びドアの取っ手をガチャガチャして掛金を再確認する。

 

 

 

・コッホはしばらく待っていたが、たまらず階段をおりて行く。

 

 

・「助かった」と、ラスコーリニコフは誰も居なくなったのを確認して階段をおりはじめた。

 

・その時、2階で仕事をしていたペンキ屋のミコライとミトレイがふざけて大きな声で叫びながらじゃれ合って庭へ走って行く声が聞こえた。

(✳︎ミコライはこのあと重要人物になる)

 

 

 

・主人公が階段をさらにおりていくと、今度は庭番を連れてコッホとペスチャコフが階段をあがってくる声が聞こえる。

 

 

・「あいつらだ!」もうやぶれかぶれになってそのまま階段をおりていく。と、2階のペンキ屋の居ない部屋が開けっぱなしになっている。

 

・主人公ラスコーリニコフは、その部屋へとびこんで、壁のかげに身をひそめた。

 

 

・ラスコーリニコフはうまく隠れることができた。

 

・隠れているとき、盗んだ品物がポケットから落ちてしまう。

 

 

 

・彼らは主人公の隠れている部屋の前をとおり4階にあがって行く。

 

 

・主人公は盗品を落としたことに気づかず、部屋を出ていく。

 

 

・主人公ラスコーリニコフはそれから誰にも会わずに自室へ帰り着くことができた。

 

・途中、凶器の斧も元の場所に戻すことができた。

 

 

・主人公はソファに横になり寝た。

 

 

・次の日、女中ナスターシヤと門番が部屋にきた。

 

 

 

・警察署から呼出状が届いているとラスコーリニコフに渡す。

 

・もうばれたのか?とか思いながらラスコーリニコフは警察署へ向かう。

 

 

•警察署に入ったら、ひざまずいて、いっさいを告白しよう。ラスコーリニコフは心に思った。

 

 

・事務官(ザミョートフ)に呼出状を見せると、「しばらく待って下さい」と言われ、ラスコーリニコフは老婆殺しの件ではないと思った。

(ザミョートフはこれからも絡んでくる人物です)

 

 

 

・ラスコーリニコフは少し元気が出た。

 

 

・呼び出されたのは、以前おかみに借金していた件の事だった。

 

 

・ラスコーリニコフは副署長イリヤと少し口論になる。

 

 

 

・ラスコーリニコフは自分でも思いがけなくむかっとして、しかも腹を立てたことにいくらか満足をえた。

 

 

 

・署長ニコージムフォミッチと副署長イリヤ・ペトローヴィチが昨日の老婆と妹の殺人事件について話をしている。

 

・「コッホとペスチャコフは犯行時刻に現場に居たが犯人のはずがない」などその根拠も添えて。

 

・ラスコーリニコフは老婆殺しの話を耳にしてぶっ倒れそうになる。(気絶した)

 

 

・警察署を出るラスコーリニコフ。

 

・帰りながら、もう捜査が始まると考えて不安になる。

 

 

・部屋に隠していた盗品などをポケットに入れて捨てに行く。

 

 

 

・エカテリーナ運河とネワ河あたりで川へ投げ捨てようと思うが、結局バレないような所の石の下へ隠す。

 

 

 

・財布の中をみないで川へ投げ捨てようとした自分の行動を思い出す。

(老婆へのあの事が、短気が起こした行動ではなく、確固たる目的があったとしたら、なんでいままで俺は何を手に入れたか知ろうともしないのだ)

 

 

 

 

 

・友人のラズミーヒンの家へ行く。

 

 

・ラズミーヒンは主人公の体調が悪いことに気付き心配する。

 

 

 

・ラズミーヒンは翻訳の仕事をしており、その一部の翻訳と3ルーブリを取り分としてラスコーリニコフに渡す。主人公は受け取らずに黙って帰る。

 

 

 

 

・外を歩いていて当たり屋と間違われてムチでなぐられる。

 

 

 

・乞食と思われて20コペイカ恵まれる。

(商家のおかみとその娘らしい若い女性)

 

・主人公は20コペイカを水中に投げる。

 

 

 

・自室に帰りソファで横になるが眠れない。

 

・おかみと副署長イリヤが争っている声が聞こえる。おかみは副署長に殴られている。

 

・この部屋にくるぞと思う。

 

・騒ぎはおさまり副署長イリヤは帰ったっぽい。

 

 

 

・ナスターシヤが部屋にくる。

 

・おかみは殴られていないし、副署長も誰も来ていない。「まぼろしを見たんだよ」と言われる。

 

 

・「水をくれナスターシュシカ」ラスコーリニコフは冷たい水を一口飲んで気を失った。

 

 

 

 

・数日後の朝10時頃、事務員風の男が来る。

 

 

・そこへラズミーヒンも来る。「ひでえ船室だな」と一言。

 

 

 

・事務員風の男は、ラスコーリニコフのお母さんからの35ルーブリを送金依頼されたので来た。

 

・ラスコーリニコフに35ルーブリ渡して帰る。

 

 

・ラズミーヒンは体調の悪いラスコーリニコフにスープを飲ませる。

(ラズミーヒンはスープを2、3度ふうふう吹いたが、そんなことをするまでもなくスープは生ぬるかった)

 

 

・ラズミーヒンは下宿のおかみがラスコーリニコフに貸していたお金を請求してきた経緯について、自分なりの考えを話す。

 

・ラズミーヒンは、すでに七等官チェバーロフに支払いをして手形を取り戻したという。

 

 

・ラズミーヒンは送金された35ルーブリのうち10ルーブリで買い物をしてくるといって出掛ける。

(ラズミーヒンは病気になっているラスコーリニコフのお世話をするのが嬉しい感じ)

 

 

 

・ラズミーヒンはこの部屋には何度か来ていたが、ラスコーリニコフは熱にうかされていたので気付かなかっただろうと言う。

・ザミョートフも一緒に来たことがある。

 

 

 

・その時にラスコーリニコフのうわごとを聞いたと言う。ラスコーリニコフは老婆殺しのことをしゃべってないか不安になる。

 

 

・ラズミーヒンが部屋を出たあと、ナスターシヤも部屋を出てラスコーリニコフは一人になる。

 

 

 

・本当は彼らはもうあれをすっかり知っているのか?それともまだ気がついていないのか?ただ知らないふりをしているだけなのか、と苦しい疑問につつまれる。

 

 

・ラズミーヒンがラスコーリニコフの帽子や靴、服を買って帰ってきた。

 

 

・そこへ医者のゾシーモフがやっと来た。

 

 

・ラズミーヒンは今日引っ越し祝いをするのでゾシーモフにもラスコーリニコフにも来て欲しいと伝える。

 

・引っ越し祝いには予審判事のポルフィーリィも来るという。

(ポルフィーリィはラズミーヒンの遠い親戚らしい)

 

 

(✳︎ポルフィーリィは予審判事。老婆殺しの事件を担当していて、後にラスコーリニコフを心理的証拠だけで追い詰め、鬼気迫る議論を展開する)

 

 

 

 

・近所で起こった老婆殺し事件の話題をラズミーヒンはゾシーモフに話し始めた。

 

 

・「今は、ペンキ屋が容疑者としてあげられている」

(事件当時2階にいたペンキ屋の2人。ミコライとミトレイの事)

 

 

 

 

・もっとも警察は最初、コッホとペスチャコフを犯人とにらんでいた。

 

・その理由は2人の発言。

 

・「最初ドアの鍵は閉まっていた、ところが庭番を連れて来ると、ドアは開いていた」

 

・その矛盾だけで、『殺したのはコッホとペスチャコフだ』という警察の論理だった。

 

 

 

・「しかし警察からコッホとペスチャコフが疑われているさなか、突然まったく思いがけぬ事実が出てきたんだ」

 

 

 

・ラスコーリニコフは黙ってラズミーヒンの話しを聞いていた。

 

 

・それは事件後、三日目。

 

 

・事件現場の向かいにある居酒屋の店主(ドゥシキン)が金のイヤリングなどが入った小箱を警察署に提出して、それにまつわる話しをはじめた。

 

 

 

・「おとといミコライがこれを持って来て2ルーブリ貸してくれと言ってきました」

 

 

・「私は、ミコライに、これはどこで手に入れたのか?と聞いたら、道ばたで拾ったと言っておりました」

 

 

・「それ以上は何も聞かずに、ミコライに1ルーブリ渡してこれを預かったのです」

 

 

 

・「翌日、私は老婆アリョーナの事件を知って、ミコライの働いているあの建物の2階の現場へ行きました」

 

・「しかし、ミトレイが一人で働いていて、ミコライは仕事に来ていないということでした」

 

 

・「すると、今朝、またミコライが店に来たので、『昨夜はどこにいた?』、『あの建物であった事件は知っているか?』、『お前があれを持って来た同じ日の晩だ』など質問しました。

 

 

・するとミコライは店から逃げるように出て行きました」

 

 

 

・「それで私はミコライが犯人だと確信したんですんです」

 

 

 

・その日、ミコライは牛小屋で首をつろうとしているところをみつかって警察署へ連れて行かれた。

 

 

・ミコライは警察署で尋問を受けた。

 

・例の小箱は道ばたじゃなく、あの部屋で拾ったと言い、その経緯を話した。

 

 

・「あの晩、夜8時前に仕事の片付けをしていると、ミチカがふざけて俺の顔にペンキを塗ってきて庭へ逃げていきました」

 

✳︎ミチカ=ミトレイ (ミコライはミチカと呼ぶ)

 

・「俺は追いかけていって庭でつかみ合いをしていた。仲が良いもんだからじゃれ合っていたんです」

 

・「それから一人で建物へ帰ると、入り口のドアのそばにあの小箱が落ちていたんです」

 

 

 

・「小箱は道ばたじゃなく、仕事場のドアのそばで拾ったと言ったんだ」と、ラズミーヒンがゾシーモフに言うと、

 

 

 

・「ドアのかげに?ドアのかげにあったって?ドアのかげにかい?」ラスコーリニコフはだしぬけに叫んだ。

 

 

・ラスコーリニコフの反応にラズミーヒンは、「うとうとして寝ぼけたんだろ」と言って話をつづけた。

 

 

・「ミコライは金のイヤリングを見つけると、すぐにドゥシキンの店に行って1ルーブリ借りて飲みに出かけたってわけさ」

 

 

・《事件の事は三日目に初めて知った》《なぜ首をつろうとした?》《こわかったんです》《無実なら怖くないだろ》《裁判にかけられたらどうしようと》

 

・老婆アリョーナの家にあった金のイヤリングの入った小箱を持っていた事実。そしてその小箱は道ばたで拾ったとウソをついていた事。首つって自殺をはかったこと。

 

・警察はもうミコライを真犯人と断定してしまった。

 

・しかし、ラズミーヒンは、もしペンキ屋2人が犯人ならば、納得できない点がある。

 

 

・あの日ミコライとミトレイが通りで騒いでいたのは、10人ほど証人がいて、《まるで小さい子どもたちみたいに》と証言している。

 

・4階の死体はまだあったかかった。(発見された時まだあったかかった)

 

 

・ついいましがた人を殺して、せいぜい5分か10分しか経っていないのに、

・突然死体をほったらかして、ドアもあけっ放しのままで、

 

・門のすぐまえでキャッキャわめいたり、わあわあ笑ったり、子どもみたいにとっくみあったりという状態が、斧とか、血とか、凶悪なずるさとか、抜かりのなさとか、盗みとか、そういったものと同居しえるだろうか。

 

・そしてラズミーヒンは犯人の行動を推理してゾシーモフに次のように話した。

 

・コッホとペスチャコフがドアをノックした時、犯人は室内に居た。

・ペスチャコフのあとにコッホもおりた。

・そこで犯人はとびだしておりていって、途中2階のペンキ屋の居ない部屋へ隠れた。

・その時に金のイヤリングの小箱を落とした。

・そのあと戻ってきたミコライが小箱みつけた。

 

・ラズミーヒンの推理はずばり当たっていた。ラスコーリニコフの行動そのものだった。

 

 

・そこへルージンがやってきた。

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