黒澤映画『どですかでん』 -原作:季節のない街-

イトルの「どですかでん」は、

電車の音「ガタンゴトン」と同じ意味です。

 

六ちゃんなりのオノマトペ。

(想像の電車を運転する六ちゃん)

 

 

さて、

 

原作の小説『季節のない街』は、

「ある街を」舞台に、その住人の物語が15編からなるオムニバス形式で書かれています。

(まぁ、細かい事を言えば、六ちゃんはその街の住人ではないです)

 

 

小説の15編の中で5番目の話は、

映画にも出てくる『牧歌調』という物語

 

この牧歌調の話しは、

簡単に言うと二組の夫婦がお互いのパートナーをスワッピングするというもので、

話しの材料だけ聞くと、ゲテモノ料理の味付けが出来上がりそうな話しに聞こえますが、

その話しの仕上がりは、あっさりさっぱりな料理になっているのです。

 

増田益夫は32歳、妻の勝子は29歳。

河口初太郎は30歳、妻の良江は25歳。

 

 

ある夜、増田益男(あにき)が、初つぁんっちゃん夫婦の家に酔っ払って来た。

(左から、良っちゃん、初つぁん、益男)

 

 

なんでも、益男は嫁と口論になって家を出てきたという。

そこで、嫁の愚痴を、初つぁんに聞いてもらいたくて、嫁と口論になったいきさつを話す。

 

 

この初つぁん役は田中邦衛さんが演じているのですが、

 

めちゃめちゃ酔っ払ている演技がうまい!すごすぎる。

田中邦衛がめっちゃ田中邦衛になっています。それも酔っ払い役なので超田中邦衛。

これは文字では伝わりにくいですが、

 

観れば分かります!

 

この説明が納得するほど田中邦衛です(脇汗)

 

 

(誤解しないで欲しいので僕は田中邦衛さんが好きです)

 

 

 

この益男が愚痴を言いに来たことから夫婦関係が面白い方に転がり始めます。

 

この牧歌調の話しが、あっさり味に仕上がっているというのは小説を読んでの個人的な感想ですが、

どろどろしていない事は確かです。

 

僕は映画を観てから、小説を読んだのですが、

小説を読むと映画がとてもよく理解できますし、小説を読んでから映画を見返すとまたさらに味の良さがわかりました。

 

 

映画は、小説の中の15編ある物語の中でいくつかをとりあげて一つの作品にしています。

 

『その街』の物語は悲しさで終わっているような感じでした。

 

繰り返し観てしまう映画です。